ITニュース六時五分:テスラの自動運転事故、正しく理解しないと感情論になってしまう

ITニュース六時五分:テスラの自動運転事故、正しく理解しないと感情論になってしまう

0605_20141112テスラ・モータズは、「Model S」の自動運転中の死亡事故について、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が予備調査を開始したと発表しました。フロリダのハイウェイで、Model Sのドライバーが自動運転機能の利用中、前方に直角に割り込んできた大型トレーラーに巻き込まれてドライバーが死亡する事故が起きていました。

自動運転での死亡事故は初めてのもので、日光の当たり具合から、自動運転カーも、乗っていた運転手も背景の青空と曲がってきたトレーラーの色が酷似していて、トレーラーを認識できなかったようです。

この事故の細かな原因や、その責任については、今後はっきりしてくるでしょうが、この事故のニュースを取り上げているニュース・メディアの反応がバラバラで、その辺に不安を感じました。

というのも、ニュースソースを調べているスタッフや、コメンテーターなどが、状況をよく理解していない、また、自動運転ということを過大に評価していることから、かなり間違った情報を発信しているからです。

「こんな事故が起きるから、自動運転など、まだまだ早すぎる。人間の運転の方が安心できる」みたいなことを言ってるコメンテーターもいました。

こういう発言は、自動運転というと、100%事故が起きないという過大評価をしているためで、そもそも、100%安全なんていうものは、この世にありません。

開発者は100%安全を目指してはいますが、現実的には不可能なこともあります。どんなに完璧な自動運転のプログラムを作ったところで、向こうから突っ込んでくる車を避けることなどできないですし、センサーでチェックできない移動体などは検知できないのですから、避けようがありません。それこそ、シカや熊が飛び出してくるのは避けようがないのです。

また、自動運転そのものは、レベル0からレベル4までの段階があり、実証実験とはいえ、今の段階は、レベル2以下の、あくまでもアシスト機能レベル。つまり、ドライバーはいつでも主導権を持って運転しなくてはならない状態なのです。

レベル 1
加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態

レベル 2
加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態

レベル 3
加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態

レベル 4
加速・操舵・制動を全てドライバー以外が行い、ドライバーが全く関与しない状態

(内閣府 SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)自動走行システム研究開発計画より

http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/keikaku/6_jidousoukou.pdf)

また、死亡事故は悲しいことですが、自動運転が認可されているわけではなく、実証実験中です。表現が難しいですが、こういう実証実験では、事故が起きますし、事故が起きるからこそ、改善されていくのも事実です。

世の中のあらゆるサービスや製品は、トライ&エラーを繰り返して、改善されています。

だからこそ、こういうことが起きた場合に、何が問題で、どういう状態になるのが理想なのか、また、技術的なことだけでなく、法的な課題や、道路整備、都市計画の課題まで広げて考えなければならないことです。

今回の事故は、自動運転だから起きたというよりも、人間であっても起きるような事故。見間違いや、夕日や朝日、あるいは、薄暗い状態での見誤りなど、そういうことが起きやすい場所をどのように整備するのかも、自動運転でなくとも解決しなければならない課題です。

感情だけで判断して、自動運転などやめるべきだのような話にならないようにしなければならないと思います。
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本日のニュース

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1607/01/news081.html

「Tesla S」の自動運転中の死亡事故、米運輸省当局が予備調査開始
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