ロングテールという儲け方があります。アマゾンが有名で、書店では、まずお目にかかれないような本、言い換えれば、ほとんど売れない本を売って、それが売り上げの半分にもなっているというビジネスです。
ようは、1年に1冊しか売れない本を365種類集めれば、毎日1札売れるという計算です。これを、毎日1,000冊売るとなれば、365万種類の本を扱えば、実現できることになります。
ロングテールという言い方は、縦軸に売上、横軸に売り上げの大きい順に商品をならべていくと、だんだん右側になるほど小さくなっていきます。これを見ると、売れない商品の部分が、長い尻尾のように見えることから、ロングテールと言われるようになりました。
このロングテール、インターネットが出てきたからこそ実現できることでもあります。
これまでも、大きなホームセンターとかでも、年に1つ売れる漬物石なんてものまで扱うことで、あそこに行けばなんでも揃うということで、集客する方法はありました。
しかし、本のようなどこで買っても同じものであれば、アマゾンのようなオンラインショップで十分実現可能です。モノをみなくても、例えばパソコン連動のデジタル仕事術―パソコンを仕事に導入する本をアマゾンで買っても、小さな書店で買っても、まったく同じものであり、値段も同じなので、早く手に入るところで購入します。そこにアマゾンのロングテールが活きてくるのですよね。
ただ、これを実現するためには、徹底した効率化を行う必要があります。なんせ、1年に1冊しか売れないのですから、その本を売るのにコストをかけてられません。人件費を極力省き、しかも倉庫代も安くして運用する必要が出てきます。アマゾンは、オーダーを受けてから、商品のピックアップ、梱包、そして配送まで人件費をどんどん削ろうとしています。倉庫内でのピックアップもロボットを使おうとしていますし、配送にしてもドローンでの配送も視野に入れています。
しかし、一方で、対極にある商売のやり方が、『おもてなし』です。
『おもてなし』は、西欧のホテルと違ったサービスを行っています。一般的に、五つ星ホテルなんていうものになると、お客のいうことをなんでも実現してくれるといったイメージがあります。そこには、クライアントとサーバの関係になっていて、クライアント(お客)が要求したことを、サーバ(給仕)が実現するという上下関係の中でサービスが実現しています。しかし、日本の『おもてなし』は、お客と宿の主人は対等の関係であり、いわば、ゲスト(お客)とホスト(主)という関係です。だからこそ、「ここに来たら、これを食べるべき」とか「この宿に泊まるなら、朝の風景を楽しんでください」といった、ある意味、主人のこだわりを、提供しています。ここには効率とは関係のない商売になります。
ロングテールで考えるのか、『おもてなし』の商売をするのか、このバランスが大事になってきています。こういう方向性を考えないで行っていると、広告にしても、ホームページにしても、中途半端になり効果がない状態になってしまうのです。
本日のニュースネタ
http://www.sankeibiz.jp/business/news/150411/bsj1504111707001-n1.htm
なぜ? 売り上げの半分以上を“書店にない本”で稼ぐアマゾン